糖尿病は一度発症すると完治が難しい病気といわれています。ですが、適切な治療を行うことにより状態を緩和させたり、改善を目指すことは不可能ではありません。
そこで、現在行われていることが多い治療法についてご紹介しましょう。
糖尿病を治療する際の基本中の基本ともいえるのが食事の内容を見直すということです。食事療法の基本ともいえるのが、バランスの良い食事を三食しっかり取ることにあります。また、無駄な間食や偏食は避けましょう。
食事療法というと何か状態の改善に効果的な食材を集中的に取れば良いようなイメージがあるかもしれませんが、バランスよく栄養素を取り入れていくことが大切です。
その際には食べ過ぎにも注意しましょう。例えば、一日のほとんどを家の中で過ごす方やデスクワークがメインとなっている方はハードに走り回る仕事をしていることに比べて少量のエネルギーで済みます。
特に肥満体型にある方は自分が必要以上に食べ過ぎていないか確認してみてくださいね。
血糖値や体型を気にしたとしても、食事の回数を減らすのはおすすめできません。というのも、食事と食事の間が空きすぎてしまうと空腹によって1回当たりの食事の量を増やしてしまう傾向が強いからです。
空腹の時間が長くなるとその次に取った食事で血糖値が急上昇しやすい傾向にあるため、食事と食事の間が空きすぎないように注意しましょう。
まず、食べるペースについてです。早食いをすると血糖値の急上昇に繋がるので、一口一口をよく噛んでゆっくり食べることが大切になります。
それから、食べる順番にもこだわってみましょう。最初に野菜類など食物繊維を豊富に含むものを食べておくとその後に入ってきた炭水化物(糖質)の吸収を緩やかにできるため、野菜から食べるように習慣を付けてみてくださいね。
食材の中でもパンやご飯といった炭水化物は血糖値を急上昇させる原因になるため、こういった食べ物は食事の最後に持ってくるのがポイントです。お腹がすいているときはすぐにご飯に手を付けたくなりますが、先に野菜やおかず、お味噌汁などから手をつけるようにすればある程度空腹も落ち着くので必要以上にご飯を食べ過ぎる心配も少なくなります。
それほど食事を食べているわけではないのに糖尿病の状態が悪化する方もいます。その大きな原因として挙げられるのが、アルコールやお菓子、普段何気なく口にしている飲み物などにあるといえるでしょう。
アルコールの中には糖質の多いものもあるため、ビール類や甘いカクテルなどは避けておいてくださいね。糖質のない焼酎なども飲み過ぎると肝臓に負担をかけるため、基本的にはNGです。
お菓子類は栄養素がほとんどないにもかかわらず糖質量やカロリーが多く、肥満の原因にもなります。また、カロリーが低そうなスポーツドリンクや野菜ジュースの中にも糖質が多いものがあるので注意が必要です。
運動が苦手という方も多いかと思いますが、糖尿病の治療をする際に運動は非常に効果的な方法だといえます。普段体を動かさない方はそれが原因で糖尿病を発症したり、状態が悪化しているケースも多いため、日頃から運動を取り入れていきましょう。
運動療法は効果が出やすく、血糖値のコントロールにも大変役立ってくれます。
運動で体を動かすと血糖値が下がるだけでなく、体脂肪を燃焼させる働きもあるため肥満解消にも効果的です。肥満体型だと糖尿病が悪化する傾向にあるため、運動は様々な働きで糖尿病改善に役立てくれるといえるでしょう。
運動によって得られる効果はこれだけではありません。無理のない範囲で適度な運動を行うと血行が良くなり、血圧を下げる効果も期待できます。
また、有酸素運動でたくさんの酸素を体内に取り込めば肺や心臓の動きを強化することにも繋がるため、総合的に健康的な体を目指すことができるでしょう。
では、具体的にはどのような運動が効果的なのでしょうか。体脂肪を燃やす目的でいうと筋トレよりも有酸素運動の方が効果的といわれますよね。ですが、血糖値の改善を目指すという目的でいうとどちらも効果が期待できます。
筋肉量の低下を実感しているのであれば、有酸素運動だけでなく筋トレも取り入れてみてくださいね。筋肉量が増えると基礎代謝もアップするため、太りにくい身体が手に入るだけでなく、ちょっとした運動をするだけでもたくさんのカロリーを消費できるようになります。
また、筋トレであれば家の中でもできるので気軽に実践しやすいでしょう。
続いて、有酸素運動の代表といえばウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクスなどです。道具を使わずにできるウォーキングなどは手軽に実践できる有酸素運動だといえます。家の中で行える運動としては踏み台昇降やエアロバイクなども効果的なので実践してみてくださいね。
大切なのは継続して行うということです。運動は一日に長時間行うよりも毎日継続することによって効果が出やすいので、自分にとって無理なく続けられる運動を考えてみましょう。運動する際にはできれば15分以上の運動を行うと効率よく血糖値を低下させることができます。
薬物療法については必ずしも行わなければならないわけではありません。食事療法と運動療法で状態が落ち着けば薬物療法をしなくても血糖値をコントロールできるケースも多いのです。
一般的に経口血糖降下薬かインスリン注射、またはこれらを組み合わせて治療を行うことになります。経口血糖降下薬には過剰な糖を排出するための薬や食べ物の消化を遅らせるような薬、インスリンの分泌を促進させる薬などもあり、症状に合わせて処方されるので医師とよく話し合いをしながら治療法について決めていきましょう。
薬物療法を行う際のポイントは必ず医師の指示に従い、決められた量を忘れずに飲むということ。飲み忘れたからといって自己判断で倍量を飲んだり、症状が落ち着いているからといって飲まないのは危険です。
また、病院で治療を受ける場合は包み隠さず医師に報告することが大切になります。本当は頻繁に飲み忘れているのに毎日しっかり飲んでいると伝えてしまうと今飲んでいる量では効果が薄いと判断され、薬の量が増えてしまうこともあるのです。
注射薬療法を行う場合も同じです。これまでは糖尿病末期の段階でインスリン療法を取り入れることが多かったのですが、近年は食事療法や運動療法の効果がうまく出ていない場合に血糖値をコントロールする目的でインスリン療法が取り入れられることもあります。
こちらの場合も医師の指示に従い、正しく取り入れましょう。