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糖尿病性腎症の食事のポイント

糖尿病性腎症は、糖尿病による慢性的な高血糖状態が腎臓にダメージを与えることで起こる合併症です。糖尿病の三大合併症のひとつとして知られており、進行すると腎臓の働きが弱まり、人工透析が必要になる場合もあります。実際、日本で人工透析を受けている人の原因の第1位は、この糖尿病性腎症だといわれています。

こうした進行を少しでも遅らせるために欠かせないのが「食事療法」です。この記事では糖尿病性腎症における食事療法の目的や食事の工夫についてわかりやすく解説します。

食事療法の目的と基本の考え方

糖尿病性腎症における食事療法の目的は、腎不全への進行をできる限り抑えることです。食事内容を見直し、腎臓への負担を軽減することで、現在の腎機能をできるだけ長く保つことを目指します。

糖尿病性腎症は、腎臓の働きが少しずつ低下していく病気であり、一度失われた腎機能を元に戻すことはできません。ですが、食事療法を適切に続けることで、進行をゆるやかにすることは可能です。

糖尿病性腎症の食事療法では、、次のようなポイントが大切です。

これらを踏まえて、患者さん一人ひとりの腎症のステージ・年齢・体格・活動量に応じた食事の調整が行われます。

なぜ「糖尿病食」から切り替える必要があるのか?

糖尿病と診断されたあとに実践する「糖尿病食」は、主に血糖コントロールを目的とした食事療法です。エネルギーの摂りすぎを防ぎつつ、栄養バランスを整えることで、血糖値の安定を図ることが基本となります。具体的には、ご飯やパンなどの主食、肉や魚などのたんぱく質源、野菜・海藻類などを適量・バランスよく食べることが重視されます。

しかし、糖尿病が進行して腎臓の機能が低下してくると、糖尿病食だけでは不十分になります。というのも、腎臓が弱ってくると体の中の老廃物やミネラルをうまく排出できなくなり、食事から取り入れる栄養素の一部が「腎臓にとって負担になってしまう」ためです。

たとえば、たんぱく質を摂ると体内で「尿素窒素」などの老廃物が発生しますが、これをうまく排出できないと、体内に蓄積されて尿毒症などを引き起こす原因になります。また、カリウムやリン、ナトリウム(塩分)も排泄が難しくなり、高血圧や不整脈、血管の石灰化といった問題が起こる可能性もあります。

つまり、糖尿病性腎症では「血糖コントロールを目的とした糖尿病食」に加えて、腎機能の低下を抑えるための制限食へと見直す必要があるのです。

この切り替えは、早ければ早いほど腎臓を守るうえで効果的です。特にステージ3(顕性腎症期)以降では、たんぱく質や塩分の調整がより重要になります。

ステージ別の食事の違い

糖尿病性腎症は、腎機能の状態に応じて5つのステージ(病期)に分けられています。そして、それぞれのステージごとに、必要とされる食事療法の内容も変わってきます。

すべての人が同じ制限を受けるわけではなく、「いまの腎臓の状態に合わせた食事」を選ぶことが大切です。

ステージ1・2(腎症前期・早期腎症期)

この段階では、腎臓のダメージはまだ軽く、体調に変化は見られません。日常生活の中で気づくことはほとんどなく、多くの場合、糖尿病の定期検査で行う血液検査や尿検査によって、初めて指摘されます。

この時期の食事は、これまでと同じように血糖コントロールを重視した糖尿病食で問題ありません。ただし、高血圧の傾向がある場合は塩分を控えることを意識しましょう。

食塩の摂取量は、少しずつ意識するだけでも効果があります。たとえば「しょうゆをかけずに小皿でつける」「汁物を半分残す」などの工夫を取り入れていくとよいでしょう。

ステージ3(顕性腎症期)

尿検査でたんぱく質が検出されるようになる段階です。ここからは、腎臓への負担を軽減するため、たんぱく質の摂取制限が始まります。

また、塩分についても、これまで以上に厳しく管理する必要があります。具体的な摂取量は、医師や栄養士の指導のもと、個々の状態に応じて調整されます。

ステージ4(腎不全期)

腎臓の機能がかなり低下しており、体内に老廃物や水分、電解質がたまりやすくなる段階です。この時期には、たんぱく質や塩分の制限に加えて、カリウムの摂取にも注意が必要になることがあります。

果物や野菜、芋類などカリウムを多く含む食品に気をつけながら、調理方法にも工夫を取り入れましょう。たとえば「野菜はゆでてから水にさらす」「果物は缶詰を選ぶ」といった工夫が効果的です。

また全体のエネルギー量が不足しないように、炭水化物や脂質でしっかりとカロリーを補うことも大切です。

ステージ5(透析期)

透析が始まると、カリウムやリンの排出も人工的に行われるようになります。ただし、透析だけに頼るのではなく、食事管理も引き続き大切です。

透析中は、必要なたんぱく質が失われやすいため、たんぱく質を過度に制限しすぎないよう調整が行われます。その一方で、リンの制限が必要になるため、乳製品や加工食品、インスタント食品などは控えめにするよう心がけましょう。

この段階の食事はやや複雑になるため、腎臓専門の栄養士と相談しながら、無理のない範囲で取り組める工夫を見つけていくことが大切です。

糖尿病性腎症の食事療法のポイント

日々の食事で意識したい5つのポイントを紹介します。

たんぱく質をとりすぎない

腎臓の働きが弱くなってくると、たんぱく質を摂取した際に発生する老廃物(尿素など)をうまく処理できなくなってしまいます。そのままでは体内に老廃物が蓄積し、腎臓にさらなる負担がかかるおそれがあります。

とくに注意が必要なのは、肉や魚、卵、大豆製品などの「おかずになる食品」です。これらはたんぱく質が多く含まれているため、食べ過ぎないよう量をコントロールしましょう。また、低たんぱくごはんなどの加工食品を活用すると、たんぱく質の量を抑えながら、必要な栄養をしっかり確保できます。

カロリーはしっかり確保して低栄養を防ぐ

たんぱく質を減らすと、食事のエネルギー量も不足しがちです。人の体はエネルギーが足りない状態になると、筋肉を分解して補おうとするため、たんぱく質を制限しているにもかかわらず、かえって老廃物が増えてしまう可能性があります。

このようなエネルギー不足を防ぐには、たんぱく質を減らした分のカロリーを炭水化物や脂質でしっかり補うことが大切です。たとえば、低たんぱくのごはんやパンを取り入れたり、必要に応じて栄養補助食品を活用するのも効果的です。

「カロリー不足は栄養不足につながる」ことを意識して、量だけでなく質のバランスにも気を配りましょう。

塩分を制限する

腎臓の機能が低下すると、体内に塩分がたまりやすくなります。これが高血圧を引き起こし、さらに腎臓の負担を大きくする要因になることもあります。そのため、糖尿病性腎症の食事では、塩分の摂りすぎに注意することが重要です。

とはいえ、急に薄味に切り替えると食事の満足感が下がり、続けるのが苦痛になってしまうケースも…。まずは「味噌汁の量を減らす」「しょうゆはかけずに少量だけつける」といった小さな工夫から始めてみましょう。また、だしや香味野菜、酢、レモンなどを活用することで、塩分を控えても美味しく食べられるようになります。

カリウムを控えめにする(進行度によって)

腎症が進行すると、体内のカリウムが排出されにくくなり、血液中のカリウム濃度が高くなることがあります。これが「高カリウム血症」と呼ばれる状態で、不整脈や心停止といった重大な症状につながる可能性があるため注意が必要です。

特に、バナナ、メロン、干し柿、里芋、トマトジュースなどはカリウムを多く含むため、摂りすぎには気をつけましょう。野菜をゆでてから水にさらす「ゆでこぼし」という調理法を取り入れることで、カリウムを減らすことができます。

なお、カリウム制限が必要かどうかは、血液検査の結果などに基づいて判断されます。自己判断せず、医師や栄養士の指導に従って調整しましょう。

続けるためには「完璧」を目指しすぎないことも大切

食事療法は一時的なものではなく、長く続けていくことに意味があります。そのために大切なのは、「すべてを完璧にこなそうとしすぎないこと」です。

1回の食事で塩分が多くなってしまったり、たんぱく質を摂りすぎてしまったりすることもあるかもしれませんが、それで落ち込む必要はありません。「次の食事で調整しよう」「少しずつ慣れていこう」と考えることで、無理なく食事療法を日常に取り入れやすくなります。必要に応じて、市販の制限食やサポート食品を活用するのも一つの方法です。

また、最近では糖尿病性腎症に対応した制限食を宅配してくれるサービスも登場しています。こうしたサービスを上手に取り入れることで、毎日の食事管理の負担を軽減できるでしょう。

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